とらねこの鉄道写真館

国鉄最後の日

−1987年3月31日−《国鉄最後の日》

国鉄最後の日
(キャシャ−ンさんにお借りしました)

0:00を過ぎました。今日で長年親しんだ「国鉄」が、その歴史の幕を
閉じようとしています。24時間を切りました。そして、この瞬間から
『謝恩フリーきっぷ』が有効になります。

これから私達は、急行『アルプス2号』で新宿へ向かいます。
急行『アルプス2号』は南小谷を22:47に発車。松本0:10発で新宿には4:50着。「鉄」の
私達にとっては貴重な列車です。0:09、南小谷から急行『アルプス2号』が入線してきました。
急行『アルプス2号』は183系でした。予想通りかなりの乗車率でした。
私達は離れ離れでしたが無事に座る事が出来ました。
世間は春休みとはいえ、この乗車率は異常でした。やはり私達と同じように、
『謝恩フリーきっぷ』を利用している人がこの列車内にもかなりいるようです。
この様子だと、この先乗車する列車はかなり混雑が予想されます。

急行『アルプス2号』は、塩尻から通称「大八回り」で闇の中を東へ走ります。
少し離れたイヌくん達の席では、松本駅で買った350円の「超神水」でプチ宴会を始めました。
1本を二人で分け合って飲んでいます。イヌくんはとてもごきげんです。
ウサギくんもつられてごきげんです。でもウサギくんはまだ知りませんでした。

この「超神水」のおかげで・・・








このあと、
彼に、とんでもない悲劇が襲ってくる事を・・・!










急行『アルプス2号』は、途中の甲府駅で30分停車します。
ウサギくんとタヌキくんは疲れの為か、眠っていました。起こすのもなんなので、
起きているメンバー達で一旦改札を出て、駅近くのドーナツ屋へ向かいます。
この旅行の3年ほど前、「青春18きっぷ」を使って新宿発上諏訪行きの夜行列車、
通称「上諏訪夜行」に乗った事があり、その「上諏訪夜行」も途中の甲府駅で、58分も停車
していました。昔は途中の大きな駅で長時間停車する列車が多く、とくに「夜行列車」では
途中で気分転換出来るのでよかったです。以前「上諏訪夜行」に乗った時に、甲府駅の近くに
ドーナツ屋がある事を知っていたので、ここで夜食を買うことを決めていました。
「夜食は松本で買ったんじゃないの?」・・・あれっ?

とにかく食料を買い込んで、ふたたび急行『アルプス2号』に戻ります。
新宿まであと2時間余り、体力を温存する為、眠る事にしましょう。


4:50急行『アルプス2号』は、定刻どおり、新宿に到着。休む間もなく、
山手線に乗り換え、上野へ向かいます。乗り換える途中、イヌくんが、
ウサギくんの様子がおかしい事に気づいていました。

山手線に乗ってからどうしたのかとウサギくんに尋ねると・・・

国鉄最後の日

ウサギくんの顔色が真っ青です。とても普通ではありません・・・。

原因はすぐにわかりました。昨日、松本で買った「超神水」です・・・。
どのくらい飲んだのかとイヌくんに尋ねると、
「あの缶の半分も飲んでないでー。」との事。「あんなちょっとで!」
あんな少しの量でこの急変とは驚きました。大人の世界をナメてはいけません。
時々車窓から「東京タワー」がチラっと見えていたので、
「ウサギくん!ウサギくん!東京タワー見えるで!」
ウサギ「・・・・・。」 ・・・反応がありません・・・。

これからが本番だというのに、何という事でしょう。しかも『国鉄最後の日』という
ビッグイベントなのに。ウサギくんには悪いが、ここで離脱してもらおうかとも考えました。
ここからなら3時間で大阪に帰れます。でも、それではこの旅行に来た意味がありません。
『国鉄最後の日』をみんなで迎え、見送る事・・・。1人でも欠ければこの先、私達の
「鉄」の歴史にも悔いが残ってしまいます。今日まで5人で来たのです。
もちろん5人で新生『JR』を迎えなければなりません。
ウサギくんも他の4人も同じ気持ちだったでしょう。
このままウサギくんを連れて行きます。たとえウサギくんの身が尽きようとも・・・