〜1989年3月10日〜
(札幌)→(釧路)→厚床→中標津→根室標津・・
トドワラ・・根室標津→標茶→網走→(旭川)
目が覚めると外の景色は明るく、もうすぐ釧路到着です。
洗面所で歯を磨き、顔を洗って今日の予定の確認です。
「王様のシート」のおかげで体の疲れはすっかり取ることが出来ました。
今日は釧路から普通列車で厚床へ行き、厚床から標津線で根室標津へ・・・
そこからバスに乗って「トドワラ」という所に向かいます。
「トドワラ」という場所は、野付半島という所にあり、トド松が立ち枯れて、
枯れた木が風化で白くなり、辺り一面不思議な風景が広がっている場所。
一度行って見たいと思い、今回の行程に加えました。
『まりも』は6:10釧路着、釧路で6:38発の根室ゆきに乗り換えます。
厚床駅に着きました。
写真を見るといかにも鉄道模型の世界です。
この風景なら私にもレイアウトを作れそうです・・・。
ここから標津線に乗り換えます。
厚床駅の入場券を購入です。
写真で見る限り、
この駅に入場券は必要なのでしょうか?
中標津に着きました。
次の列車まで1時間すこしあるので街を散策です。
しばらく歩くと川に出ました。辺りは雪景色でしたが、晴れてて暖かかったです。
30分ほど歩いたあと、駅に戻り根室標津ゆきの列車に乗ります。
12:08根室標津に着きました。
ここでも入場券を購入しました。「鉄」パワー炸裂です。
中標津や根室標津は標津線が廃止になってしまった為、
現在は残っていません。
根室標津から「阿寒バス」に乗って今日の目的地、「トドワラ」に向かいます。
ちなみにこのバス、「トドワラ」号といい、根室標津を12:15に出発し、トドワラ着12:45。
帰りはトドワラ発13:45で根室標津に14:15到着。
1日1往復で、しかも2/10〜3/31の冬季限定バスで、この時期しか乗ることが出来ません。
根室標津駅から少し離れたところのバスターミナルで往復のきっぷを買い、バスに乗り込みます・・・。
(このきっぷにはおかしな所があるのですが・・・のちほど説明します。)
「トドワラ号」は時間通りに発車。私たちは運転席のすぐ後ろに座ります。
車内を見渡すと私たちの他に約20人位乗っていました。
「トドワラ号」が根室標津の街を出てしばらくすると、景色は一変します。
道はまっすぐ一直線。右も左も海、というすばらしい景色が広がります。
左側の海の向こうには、うっすら国後島が見えます。
「トドワラ号」は時速50キロくらいで約30分、「トドワラ」に到着です。
トドワラ到着!
それではご覧ください。ここがトドワラです。
ばばーん!
バスを降りて辺りを見渡すと・・・。
右を見ても、左を見ても、長い年月風雨にさらされたトド松が立ち枯れ、
中には折れた木が遊歩道をふさいでいたりと、辺りは「木の墓場」とでもいいましょうか?
地面は雪に覆われて、「この世の終わりの世界」が見渡す限りつづいています。
初めて見る不思議な景色に感動してしまいます・・・。
さらに奥へ進みましょう・・・。
トドワラにて
かなり奥に来ました。
かなり奥まで来ました。振り返るとバス停は豆つぶの様になっていました。
そろそろ戻る事にしましょう。私とウサギくんは来た道を戻ります・・・。しかし・・・
このあと、
北海道遠征開始以来、
最悪の出来事が・・・!!!
バス停まであと100メートルでした・・・。
なんと!「トドワラ号」は
私たちを置いて帰ってしまったのです!!!
私とウサギくんは言葉を失ってしまいました・・・。
何という事でしょう。またしてもやってしまいました。昨日の事が全く生かされていません。
しかも今回は決して乗り遅れてはいけない「バス」だったのです。
なにせ次の「バス」は・・・
明日のこの時間まで来ないのです。今日はもう絶対来ません。
今の時代ならケータイでタクシーを呼べばいいのでしょうが、
この時代そんな便利なモノあるわけがありません。公衆電話があるかも・・
と、探しましたが、近くの売店も閉まっていて人の気配もありません。
他に建物も無く、「襟裳の春」以上に本当に何もありません・・・。
「遭難」という言葉が頭をかすりました。
悔やんでも仕方がありません。ここでトドワラの立ち枯れた木と同化するわけにはいきません。
私とウサギくんは駅の方に歩きはじめました・・・。
・・・しかし、歩いても歩いても・・・。
景色は変わりません・・・。
右側の海の向こうの国後を眺めながらトボトボ歩きます。
こうゆう時はいらん事をいっぱい考えてしまいます。
ここから駅まで約25キロ。
徒歩で時速5キロとかんがえると約5時間、
只今の時刻14:00。
駅に着く頃にはもう陽はとっぷり暮れているでしょう。
当初乗る予定の列車は根室標津発16:15。
まず間に合いません。
今後の予定もかなり狂うでしょう。
いや、それよりもこの旅行自体、
このまま続けていけるかどうかもわかりません・・・。
それでもしばらく歩いていると・・・
後ろから赤い車がやってきて・・、
「どうしたの?バスに乗り遅れたの?駅まで乗せてあげようか?」
なんという幸運でしょう!。地元の方が声を掛けてくれました。
「アイヌの神様」2度目の登場です。
私たちは迷う事なく車に乗せてもらいました。・・・車にはもう1人、助手席にいました。
地元の運転手の方が「観光?、どこから来たの?バスに乗り遅れたの?、大変だったねー。」
と、声を掛けてくれました。とてもやさしそうな方です。
「大阪からですー。」と答えると、助手席の方が振り向いて、
「えっ?大阪・・?俺、豊中やねん!。」
驚きましたー。まさかこんな所で関西弁を聞けるとは思いもしませんでした。しかも・・
「いやぁー、あのバスの運転手冷たいよなー。
あのバスの客みんなトドワラの観光客やねんから
待っててくれてもええのになぁ。帰りも乗るのわかってるはずやのに。
客の人数数えとけよなー。実は俺も乗り遅れてん。(笑)」
「あんたもかい!(笑)」
このあと駅まで、我々を置き去りにした「バス」の文句で盛り上がりました。
おかげで「バスの往復きっぷ」の復路の部分が未使用で残ってしまいました。
今となってはいい思い出です・・・。
あの時、車で私たちを拾っていただいた方、どうもありがとうございました。
根室標津駅に着き、地元の方にお礼を言うと、「がんばってね。」と去って行きました。
おかげで当初乗る予定の列車の1時間前に着くことが出来ました。
駅からオホーツク海が見えていました。しばらく時間があるので海を見に行くことに。
この年は北海道60年ぶりの暖冬らしく、流氷は見ることが出来ませんでした。
海も穏やかです・・・。
この後は根室標津→標茶→網走、網走から急行『大雪』に乗って旭川の予定です。
駅に戻ると車の助手席にいた豊中の人がいました。豊中の人も網走から
急行『大雪』で札幌へ行くそうです。私たちは同行することになりました。
16:15、列車は標茶に向けて発車です。
標茶に18:01到着。
ここで18:40の網走ゆきに乗り換えます。
網走までの2時間、外の景色も真っ暗なのでいつの間にか眠ってしまいました。
眠っているうちに20:53、網走に到着。
今日はろくに食事を摂っていなかったので、駅前になにか無いか探しに出ます。
駅前に出るとニポポ人形の電話ボックスがありました。
夜なのでほとんどの店は閉まっており、真っ暗。
戻ってホームの立ち食いうどんを食べる事に。
久しぶりの食事だったので、とてもおいしく感じられました。
急行『大雪』が入線しました。
この列車で途中の旭川まで移動します。
21:46、急行『大雪』は札幌に向けて発車します。
途中の美幌で入場券を購入。「鉄」の心は忘れません・・・。
私とウサギくん、そして豊中の人は、線路の継ぎ目の響きで眠りにつきました・・・。