〜1989年3月14日〜
釧路→網走→上川・・層雲峡
「ユースホステル」では起床時間が決まっています。まわりがゴソゴソと動き出しました。
朝食をすませ、出発の準備です。
今日の予定は、釧路から釧網本線で網走に移動、そこから石北本線で上川に行き、
上川駅で、大阪から出発した2人目の「タヌキくん」と合流する予定です。
合流したあと、4人で上川の奥地『層雲峡』にバスで向かい、
「層雲峡ユースホステル」で宿泊します。
昨日同室になった関東の大学生たちは、根室標津の方に向かうそうなので、
途中の「標茶」駅まで同行することになりました。
私たちはバスに乗り「釧路駅」に向かいました。
釧路発9:08、「網走ゆき」に乗ります。
途中の標茶で列車を切り離し、一方の列車は根室標津に向かいます。
釧路を出発してしばらくすると、左手に『釧路湿原』が見えてきました。
釧路の辺りもほとんど積雪がなく、湿原がはるか彼方の山裾まで広がっています。
180度見渡しても人口の構造物はどこにも見当たりません。
湿地が線路の側まで迫っていて、この辺りに人間が入って行ける所はありません。
「よくこんな所に線路を敷いたものだ」と感心していると、
「お兄さんたち、本州から来たの?」、地元の方が声を掛けてくれました。
「本州から」・・・、「本土から」・・・。こうゆう聞かれ方を北海道や九州でよくされます。
本州ではこういう聞き方はまずされません。異国の地に来た様な、とても新鮮な感覚がします・・・。
「大阪からです。あちこち回っています。」と答えると、
「今年は暖冬で雪がぜんぜん降らないよ。」、
「この湿原は広いでしょー。大阪の2倍の面積はあるからねー。」
などいろいろ教えていただきました。なるほど広いはずです。
でも逆に、「大阪はこんなに狭いのか。こんな狭い土地でいつも生活してたのか。」と、
改めて北海道の広さを感じてしまいます・・・。
「標茶駅」で関東の大学生とお別れです・・・。道中ご無事で・・・。
標茶を過ぎると、列車は勾配を登り始め、周りに山が迫ってきました。しばらくすると・・・、
「キキーーッッ!」。
駅でもない所で列車が止まってしまいました。
何かあったのかと思いましたが、その理由はすぐにわかりました。
列車の前方で『えぞしか』が線路を横断していました。窓から外の景色を見ると・・・。
横にも『えぞしか』がいました。
反対側にも・・・。
なんとものどかな風景です。
しばらくすると何事もなかったかの様に、列車はゆっくり動き出しました。
緑駅で貨物列車との交換待ちです。
釧路を出て4時間、「網走駅」に到着しました。
入場券を購入して、昼食を摂り、次の列車、13:55発、特急『オホーツク』で
上川に向かいます。上川まで3時間、本当に北海道は広いです。
朝早く出発しても目的地まで半日はかかってしまいます・・・。
13:55、特急『オホーツク』は網走を発車。網走の街並みが途切れ、
山裾を縫うように走っていきます。途中『遠軽駅』で列車の進行方向が替わり、
『オホーツク』はここから「石北峠」を越える為、エンジン音がうなりを上げます。
それにしても『周遊券』は便利です。特急列車に何回も乗れて、JRバスにも乗れて・・・。
これまでで十分元は取っているでしょう。今まで『青春18きっぷ』しか使った事なかったので、
便利さの違いが歴然です。まさに『銀河鉄道999の「鉄郎のパス」。』です。
上川駅で、昨日大阪を出発した「タヌキくん」を待つ事になっています。
私たちの「上川駅」到着時刻は16:55。「タヌキくん」はその1時間30分後、
下りの『オホーツク』で上川駅に到着する予定です。
「上川駅」が近づいてきました。
降りる支度をして、窓から駅のホームを眺めていると・・・
なんと、すでにタヌキくんは到着していました!。
ビックリです。私たちよりも早く到着しているとは思いもしませんでした。
それよりもどうやって来たのでしょう?一つ前の『オホーツク』は12時前のはずです。
いや、昨日大阪を出発して、上野から寝台特急に乗ったとしても、一つ前の『オホーツク』で
やって来れるはずがありません。どうやって来たのかミステリーです・・・。
実は彼、旭川から「レンタカー」を借りて上川駅まで来ていました。
当時車の免許を持っているのは彼だけでした。私たちはタヌキくんが借りた「レンタカー」で
層雲峡のユースホステルに向かいました。
しつこいようですが、さっきの謎・・
旭川からレンタカーを使っても時間がどうしても合わないんですよね。。
その事をタヌキくん本人にも確認しましたが、よく覚えていない様で・・・
結局、現在も謎なんです・・・・
夕食を済ませ、ロビーでくつろいでいると、
「ユースホステル」のご主人が話し掛けてきて、
「キタキツネが時々ここにやって来るんですよ。」との事。
楽しみに待っていましたが、今日は現れる事なく夜が更けていきました・・・。
〜1989年3月15日〜
層雲峡・・旭川→札幌→(釧路)
「ユースホステル」で朝食をすませると、すぐに出発の支度をします。
タヌキくんが「レンタカー」を借りていたので、午前中は層雲峡を見てまわる事にしました。
外に出てみると、昨日暗くて見えなかった険しい山々の景色が見えました。
私たちは車に荷物を積み込み、出発です。
山の奥のほうに来ました。
だんだん積雪が深くなってきます。
後ろの垂直に切り立った壁が
峡谷の険しさを物語っています。
こちらは『銀河の滝』。
こちらも凍っています。
奥地なので気温も低く、
この滝を見ているだけで
私も凍りそうです。
でも、この「凍り方」は見事ですね。
層雲峡では、
『氷まつり』というのがあったらしく、
氷像の残骸が残っていました。
『流星の滝』です。
さすが「大雪山」の麓です。
滝が凍りついています。
あちこち散策していると、時間は無情にも過ぎてしまいます。
「レンタカー」を返却する為、旭川に向かいます。
上川の街を過ぎてしばらくすると、景色がひらけて来ました。するとタヌキくんは
車のスピードを上げていきます。・・・そんなに飛ばさなくても・・・、
雪道なんだから・・・、いや、なによりも君は「初心者」なんだから・・・。
足に力が入ります・・・。
タヌキくんのすばらしいドライビングテクニックで、寿命が2週間も縮んだ私たちは
無事、「旭川駅」に着きました。
前回来た時に買えなかった入場券を
今日は買うことが出来ました。
特急『ライラック』で札幌に向かいます。
ウサギくんがポーズを決めています。
ったく、あんたの車じゃあるまいし・・・。
札幌までは1時間半。特急『ライラック』は雪の中の函館本線を快調に飛ばします。
特急『ライラック』で使用しているこの車両(781系)が登場するまでは、
本州で使われている485系が使われていました。
485系だと、あまりの寒さと雪の影響が大きい北海道では、
故障が多発し、当時は苦労したそうです。
実際に北海道に来て見て、苦労する理由がわかるような気がします。
札幌に着いた私たちは、前回行った銭湯に向かい、汗を流した後、
いいかげん洗濯物がたまってきたので、近くのコインランドリーに向かいました。
洗濯は出来たのですが、乾燥機が故障していたのか・・、使い方がわからなかったのか・・、
うまく乾きませんでした・・・。
その後お決まりの『ラーメン横丁』で食事をすませると札幌駅に戻ります。
札幌から私たち4人は、二手に分かれます。
イヌくんとタヌキくんは急行『利尻』で、道北方面、
私とウサギくんは急行『まりも』で釧路に行き、
釧路からバスで「阿寒湖」観光です。
急行『利尻』は21:59発なので、イヌくんとタヌキくんを見送ります。
その後『まりも』ホームへ移動。これで『まりも』3回目の乗車です。
今回の旅行では、宿にはほとんど泊まっていません。お金を節約する為が
一番の理由なのですが、それ以外に時間を有効に使えるという事もあります。
寝ている間に目的地まで移動でき、早朝から行動できます。
特に広い北海道では夜行列車は便利です。